裏町ものがたり

松本・昭和の昔語り

裏町ものがたり

ルーツ


昔のことをあまり話したがらない、昭和3年生まれの自称・詩人で作家で脚本家である父に
「ねえ~昔の子どもってどんな遊びしてたの?どんな生活してたの?想い出ばなしで良いからさぁ、文章にして書いといてよ。HPのネタにするからさぁ~?」
とお願いしたのはいつだったろうか。

完璧主義の父はそれからそれからあちこちに取材に行き、図書館でいろいろ調べ、筆者自ら描いた(私に描かされた)挿絵も付けて400字詰め原稿用紙40数枚のエッセイ集にして「ほら。絵は下絵だぞ(描きなおせ)」と渡されたのは一年前の春。

棒某野球

「裏町ものがたり」は、小さい頃の父が住んでいた松本城のそばの北上横田、通称「裏まち」の昭和5年~12年当時の子どもたちの生活を書いたエッセイだ。
今は昔・・・と言うけれど、今の昭和一桁世代が昔をあまり語らないのは、戦争の記憶が邪魔をしているからかもしれない。
余生をゆっくり満喫しようとする父の脳みその老化を心配して頼んでる私の気持ちを知ってか知らずか(笑)頼むとちゃんと書いてくれるところは流石である。
そんな父上はこの間も古い友人に頼まれ、「俺はもう引退の身だぞ」と言いながらも演劇の脚本を書いていた。
最近物忘れがひどくなって来た父だが、昔のことは忘れないらしい。今のうちにもっと色々、父の、いや私のルーツを聞いておかなくては。
父上、御年77歳。まだまだ「余生」と言わせてあげない、親不孝な私である。
(ブログ「じねんのことはり」より)