葦の茂みの中で

2008.07.01 Tuesday
 梅雨だから仕方ないんだけど、えらい雨降りだった信州。所によっては過去最高の降雨量を記録したらしい。
 こんなお天気の、どこまでが異常気象の範疇なのかわからなくなってしまった昨今だが、降らなくても困るし降りすぎても困るのが雨。とはいってもそれも人間様のご都合だ。
 こんなに雨が降ると、川も増水して解禁になったばかりの鮎釣りもままならない。鮎の餌となる石についた珪藻は押し流され剥がれ、曇り空で濁った水底には光も届かず育ちも悪くなる、なるほど。
 ということは、梅雨時の川は鮎にとっても我慢の時期なんだろうな。

 こんな増水の時は、魚はどこで何をしているんだろう?

 今朝はカラリと晴れて、日中30度になるらしい松本。でもこんな増水後はきっと、釣り人は川に行かないんだろうな・・・空いてそうだな・・・川。
 やらなきゃいけない仕事もあるけど、普段部屋に閉じこもってばかりで摂取したカルシウムは運動不足の私の骨に蓄積されないし、今日は川見も兼ねて健康的に(?)ちょっと日に当たって来るか。で、万が一できそうだったら釣りもしちゃおう!

 相変わらずなにかしら言い訳をしないと、平日遊びに行けない気の小さい私なんである。
 土日休日じゃないんだし。どっかに休みを作りたいな〜。でも仕事がないときは休みだし。でも携帯手放せないのはやっぱり落ち着かないし。

 ・・・とか考えながらも車はいつの間にか、薄川の上流へ。今日は私の年券・犀川管轄内の近場の川を見て歩く予定。
 どこまで行っても、・・・うわ〜、端から端まで、川じゃん・・・。餌入れる場所もわからん・・・。下りる場所も、ようわからん・・・・・。
 今日は一旦ノリだすと見境が無くなる、危ない私自身の為に、ジーパンの下に膝下の防水釣り靴下とウエーディングシューズ。これなら足首くらいまでの水深のところまでしか行かれない。
そこで、女鳥羽川。
車を置けそうな場所を探していたらこんな所まで来てしまった。

葦の茂みとアレチウリを靴で踏み分けながら道を作る。・・・お、車から直線7メートルで川じゃん!

ここにしよっと。
 日に焼けそうだったし長袖長ズボンの私。藪を漕ぐのは嫌いじゃないので足元を固めながら行く。
 誰も歩いていなさそうな場所と言うことは、こんな所で竿を出す人もいなかったのか、増水してしまって川を通せなくなっているからなのかわからないが、釣れる気もしないのである。
 いや、素人だから釣れる気がしないと言ったほうが良いか。
 さ〜て、やっとこさ川でデビューのマイ竿。ねこみみさんから頂いたシルバーの竿。・・・考えて見たら今日、初めて延ばすんだっけ・・・。
 川岸の葦は水に浸かっているので川辺には降りずに、川から1mほど上ったこの場所から釣り開始。投げ方が上手ければ向こう岸の淀みに餌を入れられるんだろうが、下からポッチャンの私には中ほどの瀬が限度である。
 川の上手は一段上っていて、そこから白波を立てて水が落ちてきている。いい感じの石があると思ったらなんだ、コンクリじゃん・・・。
 え〜と、根掛りしそうだから石(じゃなくてコンクリ)の間は止めといて、沫の切れ目あたりから・・・


あの左岸に被っている木の下あたりへ流す(つもり)、と。

 投げ方はダサいけど、なんとか予定通りの軌道をイクラは流れてるじゃん。
 庭のミミズを掘るズクが無かったので、今日のエサは冷凍庫に常備してあるイクラだけである。

 あとは糸の張り具合のコントロールね。あ、いけね、目印の位置を直して無かったわ・・・。まぁいいか。

 
 ん!?ビコビコって竿に来たぞ!?こういうときは慌てて竿を上げちゃいけないんだよね。つっと軽く引いて・・・
 なんにもいないじゃん。でもイクラは無いぞ・・・・・。まぁいいか、目印直して、と。

 もしかしたら、何か釣れるかな。釣れたらどうしよう。こんな場所でタモ入れできるのかしら(汗)

 暫く餌を落としては流す、の繰り返し。あの木の下アタリがクサそうなんだけどな。・・・と思っていたら、竿が・・・
 
ビクビク!来た〜!?

 ツッと引いて見ると小さい魚、なんだろう?少し手前に寄せてから竿を上げて葦の茂みの上をゆっくり寄せて来たら・・・ヤマメの子供だ!
 子供だろうがなんだろうが、私が釣ったヤマメ、写真に撮らねば!!
 カンカン照りで汗ばんだ私の手、水辺は足元の遥か下1m、手に乗せただけで弱ってしまいそうな小さなヤマメは小さな口の奥に針を飲んでしまっていた。
 すぐに開放してあげるからね、握らないようにするから、って
コラ!!
  
乗ってろ!


ちょちょ!


だから!
・・・・・
ということで、ちゃんと撮れないまんまさようなら・・・。
 まぁ、いいか。
 放流したであろう子供を釣って喜んでいるのは私くらいだろうなぁ。・・・・でも、もしかしたら、粘ればもうちょっと育ったのが釣れるかも・・・・・。


 ということで気合を入れて(やっと入った)、釣り再開。
 仕掛けが葦に絡んだり石に根掛かったりとトラブルはあったが、その後同じ場所でハヤが釣れた。
 ヤマメを釣った時は用意していなかったビクを車から持ってきていたので、今度は落ち着いて撮影。
 ハリも口の横にかかっていたのですぐ外せて、水の中を元気に泳いでいる。・・・・カワイイな〜。
 今家の水槽にいるのがメダカじゃなきゃ、持ってかえって飼うんだけどな。コイツじゃメダカを喰っちゃいそうだし・・・・。

大人のクセにハヤを釣ってこんなに喜んでいるのも、たぶん私くらいなんだろうなぁ。

あ、ボチボチ帰らないと夕飯の支度が・・・・・・。
 でも、川に魚がいるって、嬉しいよね。
 子供の頃、松本城の傍に私がよく通った金魚屋さんがあった。道に面して金魚の水槽がずらりと並んでいて、その水槽の中には色とりどりの金魚や変わった形の金魚がたくさん泳いでいた。用もないのにわざわざ一人でその店の前を通っては飽きもせず長いこと、眺めていた。
 そんな小学生の頃の私、家のそばの沢の蟹取りでは満足できず、川の魚がどうしても獲りたくて、斜向かいの二つ年下の男の子をムリヤリ付き合わせて、虫取り網を手に持って松本城のお堀の横の川へ行った。
 そこには腐った鯉の死体が岸辺に打ち上げられ、川はとても変なにおいがして、それでもそこで随分と長いこと、虫取り網を振り回していた私。

 「ここには魚はいないや、帰ろう」と言って諦めた時のすごくがっかりした気持ちとつまらなさは、今でも良く覚えている。
 ただ単に『いるけれど獲れなかった』のだろうけれど、あの頃(昭和30〜40年代)の川は家庭の排水で汚れきっていた。
 その後下水が普及して、松本の川もだいぶ奇麗になったけれど、そんな体験をしてしまった私の頭の中には『私の家の近くの川には、魚はいないんだ』という考えが摺りこまれてしまっていた。
 そんな私が30も過ぎて、釣りが好きな友人に教えられて松本の川でヤマメの群れを見たときは感激した。
 放流した稚魚が群れていたのだけれど、「魚はいない」と思って見ていた川を、「魚はいる」と思って見るといろんな川に魚の走る姿を見つけることができた。
 嬉しかった。
 さて、道具は頂き物が90パーセントではあるが、自分で仕掛けを作って釣りに来た私

 最初からハードルを上げない無難な私の本日の目標は
 
「魚を一匹でも釣って、無事に取り込む!」
 と、いうことで目標達成(オールクリアーは、ハヤだったが)。
 ヤッタ〜!

 それにしても今日は暑かった。川べりで過ごして正解だった。
 両側の窓を全開にしていると、涼しい川風が入ってきて車の中でも心地良い。持って来たお茶を飲みながらもう一度左手の川に目をやる。・・・・ん?助手席の座布団の上に何やら、光る物が。
 あ、ハリだ。危ないじゃん!しかもイカリバリだ。

 ・・・え?


 
なぜイカリバリがここに??????
 釣道具は荷室でしか出し入れしていないのに。しかもイカリバリなぞ持っていないのに・・・というか前回の鮎釣りの時に川で初めて自分で仕掛けに取り付けたことしか・・・。
 とすると、これはももも もしかして、あの時、流してしまったとばかり思っていたヒラちゃんのお友達のA先生のイカリバリ!!??

 ・・・が、なぜ助手席に?
 思い当たるのは帽子。さっき脱いでここに置いていた。・・・・でもなぜ川で流した筈のイカリバリが帽子にくっついていたのかはともかくとして、
これを帽子にくっつけたまま私は今日釣りをしていたわけ!?

 無事でよかった(私もハリも)・・・・・。
 たぶんこれは、A先生自作のハリであろう。美しく巻かれている。
 よし、これで次回の鮎釣りまでに、ハリ巻きの研究をするぞ!(言うは易し、行うは難し)・・・・。

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